柊 瑛太

神話研究家・西洋古典学

西洋古典学を専攻し、ギリシャ・北欧・ケルト神話の原典講読を続ける神話研究家。比較神話学の視点で神話間の共通構造を分析する記事を得意とします。

ギリシャ神話北欧神話ケルト神話比較神話学

西洋古典学専攻。エッダやマビノギオン等の原典を原語で参照し、比較神話学的な分析を行う。

柊 瑛太の記事 (8)

ケルト神話

エポナは、ガリア(現在のフランス東部)に起源を持つケルトの馬の女神で、馬やロバ、ラバといった馬科動物と騎手を守護する存在です。名はガリア語の epos に由来し、「偉大なる牝馬」とも訳されますが、叙事詩の登場人物ではなく、碑文や図像から姿をたどる信仰の女神として理解するのが出発点になります。

ケルト神話

アリアンロッドは、ウェールズ神話に伝わる女神で、名はウェールズ語の arian(銀)と rhod(輪・車輪)から成る「銀の輪」「銀の車輪」を意味します。主要な出典はマビノギオン第四の枝マソヌウィの子マースで、そこでは女神というより、グウィネズ王マースの廷臣たちの前に現れる名高い美女として描かれます。

ケルト神話

オグマは、アイルランド神話のトゥアハ・デ・ダナーンに属する神で、雄弁・学問・詩・文字を司りながら、戦場では神族のチャンピオンとして戦う存在です。言葉を武器にする戦士神という二面性は、雄弁の神を穏やかな知の守護者として思い浮かべる通念を軽やかに裏切ります。

ケルト神話

ヌアダ(ヌアザ)は、ケルト神話のトゥアハ・デ・ダナーンを率いた初代王で、アガートラム、すなわち「銀の腕」の名で知られる神です。FGOなどで名前だけ先に知っていても、その腕が義手だったのか、生身に戻ったのかは曖昧なままになりやすく、原典をたどると物語の核はそこにあります。

ケルト神話

マナナン・マク・リールは、ケルト神話における海神であり、トゥアハ・デ・ダナンの一員として異界を治める王でもある神格です。名の「マク・リール」は古アイルランド語で「海の息子」を意味し、父神リールやリールの子供たちのリールとは別の存在として理解しておくと混同しにくいでしょう。

ケルト神話

ダグザは、アイルランド神話でトゥアハ・デ・ダナーンを束ねる父なる神であり、「善神」という訳語も人柄の良さではなく、多くの技芸に熟達した神であることを示す称号だ。マビノギオン外のアイルランド神話写本を読み進めたとき、この名前から穏やかな神を想像していた感覚は、原典に現れる粗野で滑稽な姿によってすぐに裏切られた。

ケルト神話

ケルヌンノスは、ケルト神話における「角を持つ神」として知られるが、その名が遺物に明確に刻まれている例は、1世紀のパリに立つ船乗りの柱ただ1点しかない。ケルト人は神話を文字に残さなかったため、角の神をどう見るかは、牡鹿の角、トルク、あぐら座りといった図像を手がかりに読み解くしかありません。

ケルト神話

バロールは、アイルランド神話のフォモール族を率いる巨人の王で、一瞥しただけで相手を焼き尽くす邪眼を持つ存在です。ケルト系の物語の中でも、とりわけトゥアハ・デ・ダナンとの対立を背負うこの人物は、ゲームやアニメで語られる「邪眼の魔王」の原型としても知られます。